「受付スタッフが足りず、募集してもなかなか人が来ない」「電話・会計・問診・SNSの問い合わせが重なって、受付がいつも慌ただしい」――クリニックの院長や事務長にとって、受付の負担は経営に直結する悩みです。ただ、便利なシステムを思いつきで導入しても、かえって二度手間が増えることもあります。この記事では、受付業務の棚卸しから始めて、どの業務を減らし、どの業務を仕組みや外部に任せるかを決めていく進め方を、4つのステップで解説します。
この記事でわかること
- 受付業務が回らなくなる背景と、最初にやるべき「棚卸し」の方法
- ECRS(排除・結合・交換・簡素化)を使った改善策の考え方
- 電話・問診・会計・SNSなど業務別の効率化の選択肢と注意点
- 院内に残す業務と、仕組みや外部に任せる業務の分け方
目次
受付業務が回らなくなる3つの背景
クリニックの受付は、来院した患者さまの対応だけをしているわけではありません。いまの受付が忙しくなっている背景には、主に次の3つがあります。
窓口の種類が増えた
以前は「来院」と「電話」が中心だった問い合わせ窓口に、Web予約、メール、LINE、InstagramやTikTokのDMなどが加わりました。窓口が増えるほど、確認する画面や返信の手順も増え、一つひとつは小さな作業でも、合計すると大きな負担になります。
忙しい時間帯が重なる
受付の業務は、診療開始直後や夕方など特定の時間帯に集中しがちです。会計待ちの列ができている時間に電話が鳴り、その合間にDMの通知も届く――という状況では、どうしても対応の優先順位をつけざるを得ず、後回しにされた業務から抜け漏れが起きます。
業務が人に紐づいている
「予約の調整はAさんしかわからない」「SNSの問い合わせはBさん任せ」といった状態では、その人が休んだり辞めたりした途端に業務が止まります。新しいスタッフを採用しても、教えることが多すぎて戦力になるまでに時間がかかり、既存スタッフの負担がさらに増えるという悪循環にもつながります。
ステップ1:受付業務を棚卸しする
効率化の第一歩は、受付が「何に」「どれだけ」時間を使っているかを見える化することです。感覚で「電話が多い」と思っていても、実際に記録してみると、予想外の業務に時間が取られていることがよくあります。
まずは1〜2週間程度、受付業務を次のような項目で記録してみましょう。件数は「正」の字で数えるだけでも構いません。
| 記録する項目 | 記入のしかた | この項目でわかること |
|---|---|---|
| 業務名 | 「電話での予約受付」「会計」「DMの返信」など、できるだけ細かく分ける | 受付が抱えている業務の全体像 |
| 発生する時間帯 | 午前・昼休み・午後・診療時間外など | 業務が集中する時間と、ピークの重なり |
| 1件あたりの時間 | おおよその分数でよい | 件数は少なくても重い業務 |
| 件数 | 1日あたりの回数 | 件数×時間で、業務ごとの負担の大きさ |
| 院内の判断が必要か | 医師・院長の判断が必要/定型で対応できる | 仕組み化や外部化ができる業務の候補 |
| 担当者 | 主に誰が対応しているか | 特定の人に偏っている業務(属人化) |
ポイント
棚卸しの目的は、スタッフの働きぶりを評価することではありません。「どこに手間がかかっているか」を全員で共有するためのものだと最初に伝えておくと、正確な記録が集まりやすくなります。
ステップ2:ECRSで改善の方向性を決める
棚卸しで負担の大きい業務が見えてきたら、改善の方向性を考えます。このときに役立つのが、業務改善の考え方としてよく使われる「ECRS(イクルス)」です。なくす → まとめる → 入れ替える → 簡単にするの順に検討すると、効果の大きい打ち手から見つけやすくなります。
| 視点 | 考え方 | クリニック受付での例 |
|---|---|---|
| E:排除 | その業務自体をなくせないか | 紙の予約台帳とシステムへの二重入力をやめる/誰も見ていない日報をやめる |
| C:結合 | ばらばらの業務をまとめられないか | 予約の受け口を一つのフォームに集約する/よくある質問をWebページにまとめる |
| R:交換 | 順番・担当・タイミングを入れ替えられないか | 来院後に書いていた問診を来院前のWeb問診に移す/診療時間外の一次対応を外部に任せる |
| S:簡素化 | もっと簡単にできないか | 返信文や電話対応をマニュアル化する/会計をキャッシュレスや自動精算機に対応させる |
いきなりシステム導入(S)から考えるのではなく、まず「そもそも必要な業務か(E)」を問うのがコツです。不要な業務を残したままツールを入れると、ツールの操作という新しい業務が増えるだけになりかねません。
ステップ3:業務別に効率化の手段を選ぶ
方向性が決まったら、具体的な手段を選びます。受付でよく負担になる業務と、代表的な効率化の手段、導入するときの注意点をまとめました。
| 業務 | 主な効率化の手段 | 導入時の注意点 |
|---|---|---|
| 電話での予約・問い合わせ | Web予約システム、自動音声での案内、よくある質問のWeb掲載 | 電話に慣れた患者さまもいるため、電話窓口をすぐに閉じない |
| 問診票の記入・入力 | Web問診(来院前に入力してもらう) | 個人情報の取り扱いルールを決める。紙の問診票も当面は併用する |
| 会計 | キャッシュレス決済、自動精算機 | 導入・保守の費用と、スタッフの操作研修の時間を見込む |
| SNSのDM対応 | 返信テンプレートの整備、DM対応の外部サービス | 返信内容の管理方法、アカウントの安全性を確認する |
| 予約のリマインド・キャンセル対応 | 予約システムの自動通知、キャンセル手続きのWeb化 | 通知の文面とキャンセルのルールを事前に決めておく |
| スタッフ間の申し送り | 院内チャットツール、共有の業務マニュアル | 私物のアカウントやアプリで患者情報をやり取りしない |
SNSのDM対応については、返信のルールやテンプレートの作り方をクリニックのインスタDM対応ガイドで、リマインドやキャンセルの運用は美容クリニックの無断キャンセル対策で詳しく解説しています。
ステップ4:院内に残す業務と任せる業務を分ける
すべての業務を減らしたり外に出したりできるわけではありません。受付スタッフが本来の役割に集中できるよう、「院内の人がやるべき業務」と「仕組みや外部に任せられる業務」を分けて考えましょう。
院内に残したい業務
- 来院した患者さまへの対面での案内・気配り
- 医師や院長の判断が必要な問い合わせの取り次ぎ
- 体調の変化やトラブル、苦情への対応
- 患者さまの事情に合わせた予約の個別調整
仕組み・外部に任せやすい業務
- 空き状況やアクセスなど、答えが決まっている問い合わせ
- 診療時間外に届く問い合わせへの一次対応
- 予約確認・リマインドの送信
- 問診内容の入力・転記
迷ったときは、次の3つの問いで判断すると整理しやすくなります。
任せられるかどうかを判断する3つの問い
- 医師・院長の判断が必要か?必要なら院内に残す。不要なら次へ
- 対応の仕方を文章やルールで決められるか?決められないなら院内に残す。決められるなら次へ
- 診療時間外や忙しい時間帯にも発生するか?発生するなら、仕組み化や外部への委託を優先的に検討する
たとえばSNSのDMは、空き枠の案内や予約フォームへの誘導など定型で返せる内容が多く、しかも夜間や休診日に届きやすい業務です。3つの問いに当てはめると、仕組み化や外部化を優先的に検討してよい業務といえます。
受付の業務から「DMの返信」を外しませんか
クリニックDM当番のスタンダードプランなら、Instagram・TikTokに届いたDMへの返信を、クリニックと事前に決めた文面でまるごと代行します。受付スタッフがDMを開かなくてよくなります。
効率化を定着させるための進め方
効率化の取り組みは、導入したあとに使われなくなってしまうことも少なくありません。定着させるために、次の4点を意識して進めましょう。
- 小さく始める:負担の大きい業務を1つ選び、そこから改善します。複数の仕組みを一度に変えると、現場が混乱しやすくなります。
- 現場のスタッフを巻き込む:実際に業務をしているスタッフの意見を聞きながら手段を選ぶと、「使いにくいツールが押しつけられた」という反発を防げます。
- 導入前後で比べる:ステップ1の棚卸しの記録を、導入後にもう一度取ってみましょう。同じ項目で比べることで、効果があったかどうかを客観的に確認できます。
- 患者さま側の負担も確認する:受付が楽になっても、患者さまの手間が増えては本末転倒です。Web化した手続きがわかりにくくないか、問い合わせの声にも目を向けましょう。
また、外部のサービスを使う場合は、患者さまの情報やSNSアカウントを安全に扱えるかも重要な確認ポイントです。InstagramなどのSNSアカウントをスタッフや外部と共有する際の注意点は、クリニックのInstagramアカウント管理をご覧ください。
クリニックDM当番でできること
- ライトプラン(月19,800円〜・税別):Instagram・TikTokのDMを1画面で管理し、ID・パスワードを共有せずにスタッフが返信できるツールをご提供します
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- どちらも初期費用なし・最低契約期間なし。やり取りは管理画面でいつでも確認できます
まとめ
クリニックの受付業務を効率化するには、ツール選びより先に「何に時間を使っているか」を把握することが欠かせません。
- まず1〜2週間、業務・時間帯・件数・担当者を記録して棚卸しする
- ECRSの順に「なくす・まとめる・入れ替える・簡単にする」を検討する
- 電話・問診・会計・DMなど、業務ごとに合った手段を選ぶ
- 判断が必要な業務は院内に残し、定型で時間外にも発生する業務から任せる
- 小さく始め、導入前後の記録を比べて定着させる
受付スタッフが目の前の患者さまに向き合える時間を増やすことは、患者さまの満足にも、スタッフが働き続けやすい職場づくりにもつながります。できるところから一つずつ見直してみてください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。システムの導入や個人情報の取り扱いについては、各サービスの提供元や専門家にご確認ください。


